久々に傑作に出会った。


鬼はもとより
青山文平
徳間書店
2014-11-21



いや、2-3月くらいに読んだ『鹿の王』だったり他にも傑作に出会ってるのですが、ちょっとこう自分が久々に書評ブログ書く気になる傑作に出会ったというのが正解かもしれない。 


これ何が面白いって

時代小説に見せかけたビジネス小説

なんですよね。
冲方丁の作品とかもそうですが、こういう話はたいてい面白い。


さて、Amazonに書いてある本のレビューを見てみると、


どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、藩札掛となった奥脇抄一郎は命を賭すにたる御勤めと確信。飢饉の際、藩が命ずる実体金に合わない多額の藩札刷り増しを拒み、藩札原版を抱え脱藩。江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に、藩札による藩経済そのものを大本から立て直す仕法に至った矢先、東北の最貧小藩から依頼が…。剣は役に立たない時代、武家が穀潰しでなくなる方策とは?三年で赤貧の小藩に活気ある経済状況をもたらしうるか!


ここでは思いっきり「フリーコンサルタント」って言ってますね。
本の中ではそう出てこないんで、ブログで「今で言うコンサルなんです」ってドヤって書こうかと思ったらすでに書いてあった。 まぁいいや。


ここに書いてある通り藩札という"お金"をどのように流通させて行くかの経済小説です、これ。

しかも、その中で貧困にあえぐ藩が復興していくための覚悟が書かれており、
「ああ、これって経営者が持つべき覚悟と一緒だな」
と思いながら読んでいました。人切ったりするんで経営者より過激ですが。


藩札を流通させるだけでは藩は復興しない。

目標を作り、
強みとなる自社(=藩)商品を定め、
正しい流通経路を決め、
更に新しい新規事業も作る。

こんな事をやっています。


その中で、萎えていた武家/商人を生まれ変わらせるため、様々な過激な策を行っていき、時には自分の命も危うくする。

そして、本当に文章がきれいで、友情や愛情、人の成長などストーリーの原型部分も作りこまれています。


時代小説だと思って読んでもそれだけでも普通に面白いですが、
おそらく、ビジネスマンの方が好きだと思います。

すごくすごくオススメな小説。