ピーター・ティールの『ZERO TO ONE』を拝読いたしました。

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※松島さん、献本ありがとうございます!


ピーター・ティールの事をご存知無い方に簡単にご説明すると

「paypal創業者でありFacebookに1番最初に投資した事業家/投資家」

です。

この時点で先見性はすごい。


個人的にはすごく面白かった本でした。

ただ、ピーター・ティールの個々の投資についてエピソード付きで詳細に書いてある本か、というと少し違います。
もちろんエピソードはあるものの、ピーター・ティール哲学という所の方がメインなのかな、と。

◯アメリカ経済の最先端にいるピーター・ティールの哲学書
☓個々の投資について具体的エピソードと共に学べる本


個人的に「世の中で言われている事の逆」みたいな事が好きで、結論「◯◯だから成功した」というファクトは無いと思っています。

ピーター・ティールについてもそれが濃厚な方でその辺り面白かったです。

1小さな違いを追求するより大胆に賭けたほうがいい。
2出来の悪い計画でも、ないよりはいい。
3競争の激しい市場では収益が消失する。
4販売はプロダクトと同じくらい大切だ。
 
この当たりなんか、いわゆるリーン的な考え方と逆をついていて面白い。

 
普段僕が本を読んだり、経営者・投資家と話していて思う逆の物事は下記のようなものです。

・オフィスは安く↔ちゃんと自分で払ってリスクを負え
・ダメな社員は切れ↔家族主義
・目標を週ごとに切れ↔目標は作るな
・最初からグローバルを狙え↔まずは国内から
・友達と組め↔友達と組んじゃダメ
・スキルの高い人を採用↔カルチャー重視
・パーティーには出るな↔たくさんの場所に顔を出して顔を売れ
・採用は慎重に↔良い人がいれば1000万かけてもすぐに取れ 
 
何にでも「これだ」って法則は無いのだなと思います。
ただ、ピーター・ティールが言ってる事はアグリーな事が多かったです。
 
以下、自分の心に残った事を記載いたします。

矛盾するようだけど、ネットワーク効果を狙う企業は、かならず小さな市場から始めないといけない。
どんなスタートアップも非常に小さな市場から始めるべきだ
→大きな市場の中のどの部分を狙うかを正確に把握して戦略を練る。

勝ちたければ「何よりも先に終盤を学べ
→これは事業に関してまさにという感じで、サラリーマン時代は無かったのですが自分で起業してからはこの部分をいつも考えています。
 
ファンド全体のリターンを1社で叩きだす可能性のある企業にだけ投資する事
→この辺りは起業家としては気が引き締まる思いです。


下記のあたりはどちらかと言うと戦術的なものですが、事業立ちあげの根本を成す戦術かな、と。
自分でも出来ていない所などあるので、きちんとしていかないとな、と。
 
創業者の第一の仕事は、いちばん始めにやるべきことを正しく行うことだ。土台に欠陥があっては、偉大な企業を築くことはできない。
ボックスCEOのアーロン・レヴィは、自分の報酬が1番低くなるようにいつも気をつけていた。
グーグルでもほかの会社でもより高給でより高い地位につける人が、20番目のエンジニアとして君の会社を選ぶ理由はなんだろう?
スタートアップの初期の社員はできるだけ似通った人間を集めるべき
成功している起業家はほとんどみなインサイダーでありながらアウトサイダーだ。

→これはすごく納得です。
WOODY立ちあげ時に色々な起業家にインタビューしたのですが、あまりにも音楽やっていた人が多く、何か法則があるのか?と考えました。自分としては「アウトサイダー領域に踏み込む一歩目として音楽が1番適しているから」という事でした。 


最初にも書いていますが、「◯◯すると成功する」というものは無い。
なので、この本を読んでその通りやったからといって成功するわけではない。

それでも、そこらに売っている成功マニュアルみたいなものや、起業をした事が無い人が書いている批評本よりもよっぽどためになる最も最先端の起業哲学を学べる本です。